椅子について

椅子の歴史は人類の歴史といっても過言ではない。

5000年前のギリシャやエジプトのレリーフ、絵などにも沢山の椅子が出てきている。西洋では、過去の椅子の発展およびデザインを見てみると、建築や絵画の様式と連動していることがわかる。

 

現在の私たちが日常、慣れ親しんでいるモダンデザインの流れは、ドイツのワイマールで1919年に設立されたバウハウスという総合美術大学に始まるといわれている。しかし、ナチス政権からの弾圧により1933年には閉鎖されてしまう。バウハウス最後の学長である、ミース・ファンデル・ローらはアメリカに亡命し、1937年にシカゴにて、ニューバウハウスとして新たに学校が設立された。その後、イリノイ工業大学に吸収される。第二次世界大戦後、建築およびデザインの中心はアメリカに移り、主にミシガン州にあるクランブルック美術大学院に代表されるチャールズ&レイ・イームズやフロレンス・ノルらの人々によってアメリカの家具デザインは発展していった。

 

戦後、家具においてはアメリカのモダンデザインの他にイタリア、ドイツ、北欧の合計4つのデザインの流れがあった。日本の家具デザインは、この4つのデザインの影響を受けながら、発展してきた。

 

次に椅子の人間工学について触れたい。椅子の人間工学とは、椅子を使う人の寸法や動きを実際に測り、体験的・実験的にデータをとり、座り心地を分析しながら、椅子の座面や奥行き、高さ等の寸法や座と背の角度、肘の高さ、座り心地等を数値化して資料にしたりして椅子の設計に役立てようとする学問である。人間工学の研究は、椅子や家具ばかりではなく飛行機から自動車、電車、家電、コンピュータ、食器、衣類に至るまで、我々が日常使っているもの全てのものが人間工学の対象になる。アメリカにおいてはヘンリードレフス事務所、欧州ではスイス連邦工科大学、日本は千葉大学が人間工学の分野では有名である。

 

椅子の材料は以下のように分類することができる。

木材⇒ブナ材(ピーチ) オーク材 タモ材 サクラ材 メープル材 ウォールナット材 

    マホガニー材 合板

金属⇒鉄鋼菅・パイプ 棒鋼・ワイヤー 鉄板 アルミニウム

 

張り材について

天然布材⇒ウール・羊毛 コットン・綿 麻 絹 

革材⇒牛革 豚革 羊革 馬革

人工合皮⇒塩化ビニール材のビニールレザー ウレタン系 エクセーヌ ベルセーヌ

 

クッション材について

ウレタン ウェディング 鉄バネ ペーパーコード アクリルテープ

 

 

 

 

参考文献

『椅子』 井上昇 株式会社山海堂 2004年 (2020年11月10日閲覧)